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re:Invent2025でAIエージェントを浴び、Googleの話を聞いて考えた「エージェント爆発」における設計
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目次
re:Inventでは、AIエージェントを「どう作るか」という話を数多く聞きました。 エージェントはすでに作れる段階にある、という前提です。
その直後にGoogle本社で聴講したNoel Kenehan氏の講演は、 作り方ではなく、 増えたエージェントをどう扱うか に焦点が当たっていました。 ここでは、その中で特に印象に残った点を整理します。

エージェントは作れることが前提
Googleの講演で一貫して感じたのは、 「エージェントは作れるようになった」という状態を、 すでに通過点として扱っている点です。 いわば、エージェント爆発後の世界を前提にした話でした。
焦点は次のような点にありました。
- エージェントがどう増えるか
- 組織の中でどう扱われるか
- どこで統制をかけるか
新しい失敗の予感
AIエージェントという言葉自体は新しいものですが、 Googleの講演を聞いて感じたのは、 そこで描かれていた状況が、 AWSの現場で何度も見てきた構図と よく似ているという点でした。
Lambda やスクリプト、簡易ツールで繰り返し見てきた、あの流れです。 AIエージェントでは、この構図がより短い時間軸で、 より大きな影響範囲を持って再現されると感じました。
- 個人の工夫として生まれる
- 管理されないまま利用が広がる
- いつの間にか業務の一部になる
- 作った人がいなくなった後に問題が表面化する
- 誰も中身を説明できなくなる
次に問題になるのは、増えた後をどう扱うかという設計です。
Googleの講演で印象に残ったのは、エージェントを単体の成果物としてではなく、
ライフサイクルを持つ存在として扱っていた点でした。
作成から利用、共有、廃止までを一続きの流れとして捉え、
その中にあらかじめ統制ポイントを置く。
重要なのは、
「作成=組織利用」ではないという線引きです。
作る自由は残す。
しかし、組織で使うには必ず段階を踏む。
この仕組みが、
シャドーエージェントの無法地帯化を避けるための
前提になると感じました。
講演の中では、 スプレッドシートでエージェントを管理している様子も紹介されていました。 地味な方法ですが、 誰が何を使っているのかを把握するという点では、 非常に分かりやすいアプローチだと思います。
自由と統制のバランス感覚
エージェント設計を考えるうえで、 整理しておきたいのが、自由と統制の関係です。
- 自由だけを重視すると無法地帯になる
- 統制だけを重視すると誰も使わなくなる
AWSは「ビルダー(作る人)」を重視し、
Bedrock、Lambda、Step Functions などの部品を組み合わせて
自由に構築できる文化が強い印象があります。
一方でGoogleは、
プラットフォームとしての一貫性や、
データ基盤との統合など、
「組織としてどう運用に乗せるか」という視点を
強調しているように感じました。
統制ポイントを意図的に置くという考え方は、 技術的な派手さよりも、 運用を知っている設計だと感じた部分です。
※ なお、AWSでも「Guardrails for Amazon Bedrock」など、 統制機能の強化は進んでおり、 Googleも「Vertex AI Agent Builder」で エージェントを高速に作れる点をアピールしています。
両者の立ち位置を整理すると、次のように表現できます。
- Google:統制ポイントを意識し、組織利用を前提とした運用設計に重心を置く
- AWS:ビルダーの自由度を重視し、柔軟な組み合わせを可能にする設計に重心を置く
「エージェント爆発」を生きるクラウドエンジニアとして
この講演を通して、「GoogleとAWSの優劣や違いがよく分かった」 という結論には至りませんでした。 これはクラウドやプラットフォームの違いではなく、 AIが使える段階に入った以上、避けられない共通の課題だと感じています。
エージェントは必ず増えます。 だからこそ、「増えた後」を最初から設計しておく必要があります。
おまけ:Google本社にて

Google本社は広大な敷地の中にあり、NASAの施設が隣接していることにも驚きました。 ジムは広く、社員食堂の食事はヘルシーで美味しく、住みたいオフィスだなと感じる環境でした。
この記事は私が書きました
河野 桂子
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