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【S3 Standard-IA】128 KB 未満のオブジェクト課金検証結果

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目次

はじめに

本記事では、Amazon S3 のストレージクラス【S3 Standard-IA】に 128 KB 未満のオブジェクトを保存した場合、128 KB のオブジェクトとみなして課金されるのか、実際に検証した結果を説明します。
(以降、引用を除き【】で囲った名称はストレージクラスを示します)

結論からお伝えすると、【S3 Standard-IA】では 128 KB 未満のオブジェクトが 128 KB とみなされて課金されることが確認できました。
そして 128 KB 未満のオブジェクトを【S3 Standard-IA】に保存する場合、【S3 Standard】より課金額が高くなる場合があります。

経緯

Amazon S3 の料金¹を確認していたとき、以下の記載が目に留まりました。

  • 日本語¹

** S3 標準 - IA および S3 1 ゾーン - IA ストレージの課金対象最小オブジェクトサイズは 128 KB です。128 KB より小さいサイズのオブジェクトを保存することもできますが、適切なストレージクラス料金で 128 KB のストレージとして課金されます。

 

S3 Glacier Instant Retrieval の課金対象となる最小オブジェクトサイズは 128 KB です。128 KB より小さいサイズのオブジェクトを保存することもできますが、適切なストレージクラス料金で 128 KB のストレージとして課金されます。

  • 英語²

** S3 Standard-IA and S3 One Zone-IA storage have a minimum billable object size of 128 KB. Smaller objects may be stored but will be charged for 128 KB of storage at the appropriate storage class rate.

 

S3 Glacier Instant Retrieval has a minimum billable object size of 128 KB. Smaller objects may be stored but will be charged for 128 KB of storage at the appropriate storage class rate.

記載を見る限り、【S3 Standard-IA】と【S3 One Zone-IA】、【S3 Glacier Instant Retrieval】については、128 KB 未満のオブジェクトを保存した場合、該当オブジェクトは 128 KB の金額で課金されるようです。

ログファイルなどを保存する場合、オブジェクトサイズが 128 KB 未満に該当する事例があると思います。
実際の課金額がどうなるのか気になって、以下2つの検証を行いました。

  • 検証 1:5 KB のオブジェクトが 128 KB で課金されるか
  • 検証 2:【S3 Standard】より【S3 Standard-IA】の課金額が高くなる場合はあるか

検証 1:5 KB のオブジェクトが 128 KB で課金されるか

検証内容

検証にあたり、以下を用意しました。

  1. 128 KB のテキストファイル 81,920 個
  2. 5 KB のテキストファイル 81,920 個
  3. 128 KB のテキストファイルを保存する S3 バケット(コスト配分タグを付与)
  4. 5 KB のテキストファイルを保存する S3 バケット(コスト配分タグを付与)

テキストファイルを保存用 S3 バケットの【S3 Standard-IA】へ保存します。
一ヶ月間の課金額を Cost Explorer で確認して、5 KB と 128 KB の保存用 S3 バケットが同額になることを確認します。
なお、課金額が少ないと比較しにくいため、どちらのテキストファイルも S3 バケットに 81,920 個 保存しました。

検証結果

検証した結果、128 KB と 5 KB のテキストファイルを同数保存した S3 バケットについて、課金額が同額となりました。

この結果から、Amazon S3 の料金¹に記載の通り、【S3 Standard-IA】では 128 KB 未満のオブジェクトが 128 KB とみなされて課金されていることが分かります。

検証 2:【S3 Standard】より【S3 Standard-IA】の課金額が高くなる場合はあるか

前提として、【S3 Standard】は【S3 Standard-IA】より 1 GB あたりのストレージ料金が高いです。
Amazon S3 の料金¹によると、東京リージョンではストレージ料金が以下になっています(2025-06-20時点)。

  • 【S3 Standard】$0.025/GB(最初の 50 TB)
  • 【S3 Standard-IA】$0.0138/GB

ただし 128 KB 未満のオブジェクトを保存する場合、【S3 Standard-IA】を選択することで【S3 Standard】より課金額が高くなる場合がありそうです。

検証内容

検証にあたり、以下を用意しました。

  1. 64 KB のテキストファイル 163,840 個
  2. 64 KB のテキストファイルを保存する S3 バケット(コスト配分タグを付与)

テキストファイルを保存用 S3 バケットの【S3 Standard-IA】へ保存します。
課金額を分かりやすくするため、合計サイズが 10 GB になるように 163,840 個 保存しました。

一ヶ月間の課金額を Cost Explorer で確認して、【S3 Standard】の料金より高くなることを確認します。
【S3 Standard】に保存する場合、$0.25 が発生します。
  64 KB × 163,840 個 = 10 GB
  $0.025/GB × 10 GB = $0.25

検証結果

検証した結果、64 KB のテキストファイルを保存した S3 バケットについて、課金額が $0.28 となりました。

検証 1 で確認した挙動と同様、オブジェクトサイズが 128 KB の金額で課金されています。
これにより【S3 Standard】に保存した場合($0.25)と比べて、【S3 Standard-IA】に保存すると課金額が高くなることが分かります。

検証にあたっての留意点

検証 1・2 ともに、リクエストの料金が課金額に含まれないようにするため、以下の流れで検証を行っています。

  • 4 月:テキストファイルをアップロード
  • 5 月:何もしない
  • 6 月:5 月の課金額を確認

まとめ

2つの検証により、以下を確認できました。

検証 1:【S3 Standard-IA】では 128 KB 未満のオブジェクトが 128 KB とみなされて課金される
検証 2: 128 KB 未満のオブジェクトを【S3 Standard-IA】に保存する場合、【S3 Standard】より課金額が高くなる場合がある

【S3 Standard-IA】を選択する目的として、ストレージ料金の低減化があります。
128 KB 未満の オブジェクトを【S3 Standard-IA】に保存することで、【S3 Standard】より高額になることは避けるべきです。
オブジェクトサイズが 128 KB 未満になる場合、事前に複数ファイルを圧縮ファイルにまとめるなどして、1 つのオブジェクトサイズを増加させるといった対応が考えられます。

なお、今回の検証では【S3 Standard-IA】を使用しましたが、【S3 One Zone-IA】と【S3 Glacier Instant Retrieval】も同様の挙動と考えられます。

本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

参考文献

¹ "料金 - Amazon S3 |AWS". AWS. https://aws.amazon.com/jp/s3/pricing/, (参照 2025-06-20)
² "Amazon S3 Pricing - Cloud Object Storage - AWS". AWS. https://aws.amazon.com/s3/pricing/, (参照 2025-06-20)

この記事は私が書きました

Hirano

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AWSの知見を身につけるため、一大決心でP&Sに入社しました。 目標はシステム改善に大きく貢献できるエンジニアになることです。 簡単な内容であっても自身が戸惑った点を投稿することで、同じ苦労をしている方の助けになれば嬉しいです!

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